スイスのカーニバル(謝肉祭) Fasnacht/Carnaval/Carnevale

ラテン語のカルネムCarnem(肉)+レヴァーレlevare(軽くする/控える)が語源といわれるカーニバルCarnival。ヨーロッパ各地でおこなわれていますが、もともとはキリスト教のイースター*関連のお祭りで、四旬節*の間、キリスト教徒が断食をしたり肉食を控えたりすることから、その苦行の前に食べて騒ごうというもの。通常は、四旬節*が始まる灰の水曜日の前の木曜日から前日の火曜日までが、カーニバルの期間とされていますが、地元の祭りや風習と結びついて発展したスイスのカーニバルでは灰の水曜日の前後から始まるところもあります。
 
イースター(復活祭):キリストの復活を記念して、甦りの象徴の卵に飾りつけをして祝う日。「春分の後の最初の満月の次の日曜日」と定められたため、毎年日にちが変動します。2015年は4月5日です。
レント(四旬節):イースター前の46日間は、キリストの受難を思いながら、肉や卵、乳製品、油などを断って、祈りを捧げる時期とされています。「灰の水曜日」はレントが始まる日で、2015年は2月18日になります。

スイスのドイツ語圏ではファスナハトFasnacht、フランス語圏でカルナヴァルCarnaval、イタリア語圏でカルネヴァーレCarnevaleと呼ばれています。現在は多くの場所で宗教色は薄くなり、その土地に伝わる風習や祭りなどと混ざって、特徴のあるユニークなお祭りになっています。

イースター関連のイベントのため、毎年開催日が変動しますが、春の訪れを感じさせるイースターに対して、その約46日前に開催されるカーニバルは、冬の終わりの時期の祭りというイメージがあります。雪深い山里の多いスイスでは、待ち遠しい春の到来を願って、大きな音を立てて冬の悪魔を追い払う風習が多く、カーニバルでも太鼓や笛など、めちゃくちゃなリズムで大きな音をならしてパレードするのが定番になりました。「グッゲンムジークGuggenmusik」または「グッゲGugge」と呼ばれるカーニバルの時の音楽はパレードの時の名物です。

この時期には、スイス各地でカーニバルと地元の伝統・風習をあわせた多彩な祭りが開催されています。とくにバーゼル、ルツェルン、ベルンのカーニバルは有名です。レッチェンタール(レッチェン谷)では、木彫りの恐い風貌のお面を被って悪霊(または冬の悪魔)を追い払うという風習をルーツにもつ、日本のなまはげによく似た祭りが開催されます。また、イタリア語圏のティチーノ州ではリゾットなどを大鍋でつくりみんなに振る舞うという「リゾッタータ」という祭りがおこなわれます。
■スイスの主なカーニバル(※イベント名をクリックすると詳細ページにリンクします)
イベント・祭   開催日(2015年) 開催地
チェゲッテ Tschäggätä/Roitschäggäta   2/14
(伝統行事は2/12)
ロイチェゲッタ
ラバダン Rabadan   2/12 〜 17 ベリンツォーナ
ルツェルン・ファスナハト Luzerner Fasnacht
  2/12 〜 17 ルツェルン
リゾッタータ Canevale con Risotto   2/12 ルガーノ
リゾッタータ Canevale con Risotto   2/17 アスコーナ
ベルン・ファスナハト Berner Fasnacht   2/19 〜 21 ベルン
バーゼル・ファスナハト Basler Fasnacht   2/23 〜 25 バーゼル